第6回 中古不動産をリフォームする際の注意点について
 前回のコラムでは,中古不動産を購入する際の注意点についてお話をしました。最近は「リノベーション」という言葉が流行しているように,中古住宅を購入した方がリフォームしてから住みはじめることも多いように思います。
 そこで,今回のコラムでは,購入した中古不動産をリフォームする際の注意点について解説していきたいと思います。なお,リノベーションとリフォームという用語は区別して用いられることがありますが,このコラムでは「リフォーム」という言葉に統一しています。

 

 まず,リフォームをする際に注意が必要な法律は「建築基準法」です
 建築基準法は,国民の生命・健康・財産を守るために,地震や火災等に対する安全性や建築物の敷地や周囲の環境等に関して必要最低限の基準を定めたものです。
 建物の所有者は,建物を建築するときのみならず,リフォームする際にも建築基準法に違反しない状態を保つことが必要です。これに対して,建築後の法改正によって建築基準法の基準を満たさなくなった建物を「既存不適格建築物」といいますが,既存不適格建築物については後述します。
 建築基準法以外にも民法,都市計画法や消防法も問題になることがありますが,今回は建築基準法を中心に解説します。

 

【建築基準法に違反すると】

 リフォーム工事の途中で建築基準法に違反することがわかった,または,せっかく費用をかけてリフォームしたけど建築基準法に違反することがわかった。このような場合,違反建築物はどうなるのでしょうか。

 建築基準法に違反する違反建築物に対して,特定行政庁は,工事の施工の停止を命じる,相当の猶予期限を設けて建築物の除却・移転・改築・増築・修繕・模様替・使用禁止・使用制限その他違反の是正に必要な措置をとることを命ずることができます(建築基準法9条)。
 このように,自由に建築物を使用できないという制約があると,住宅の資産としての価値も損なってしまいます。
 また,建築基準法に違反する建築物が原因で他人の生命や身体に損害を加えた場合には,土地工作物の所有者として損害賠償責任を負うこともあります(民法717条1項)。実際にも,新築時点で当時の建築基準法の規定を満たしていなかった建物が地震で倒壊し,1階部分に居住していた賃借人が死亡し,遺族の方が建物所有者を相手に損害賠償請求した事案で,所有者の損害賠償責任を認め1億2900万円の賠償を命じた裁判例もあります(神戸地裁平成11年9月20日判決)。

  

【建築基準法の規制内容】

 では,違法建築にならないためにはどうすればいいのか,建築基準法がどのような規制をしているのか,リフォームの内容に即してみていきましょう。

①接道義務

建築基準法では,建物の敷地は幅員4m以上の道路に2m以上接していなければならないとされています(建築基準法43条)。この接道義務を満たさない敷地に建つ建物は建て替えや建築確認申請が必要な増築はできないので注意が必要です。
 

②サンルームやバルコニーを設置する

 サンルームやバルコニーを設置すると床面積が変わってきます。
 建築基準法では,建築物の建築面積の敷地面積に対する割合,すなわち,建ぺい率の上限を定めています(建築基準法53条)。
 床面積が変わると,この建ぺい率に影響がでてきます。そのため,床面積を増加する工事は,建ぺい率が制限内におさまっているかどうか,注意が必要です。
 

③間取りを変更する

 中古住宅では築年数によっては現代のライフスタイルに合わなくなっている物件もあるかもしれません。例えば,襖で仕切られている和室をなくしてリビングを大きくとるなどのリフォームが考えられます。 
 建築基準法では,住宅の居室には,居室の床面積の7分の1以上の採光の開口面積,居室の床面積の20分の1以上の換気の開口面積が必要になります(建築基準法28条)。
 和室をなくしてリビングを大きくとるリフォームをすることによって,リビングの床面積が大きくなります。その結果,採光や換気の開口面積も大きくとる必要があることになり,既存の窓よりも大きな窓が必要になることもあります。

【既存不適格建築物とは】

 建築当時は建築基準法の基準を満たしていたのに,建築後に基準が厳しく改正された結果,建築基準法の基準を満たさなくなった。こんなときに,「違法建築」として是正命令や使用禁止命令をされたら困りますよね。
 そこで,建築基準法では,既存の建築物で,建築基準法の改正によって改正後の基準を満たさなくなった建築物を「既存不適格建築物」として,改正後の基準を満たしていないものの,違法建築とはせず法律上は適法な建築物として現状維持が認められるように扱われています。
 ただし,既存不適格建築物をリフォームする際には改正後の建築基準法の基準を満たすことが必要です。増築や改築など大規模なリフォームする際には,建築確認申請が必要となります。

 
 このように中古住宅を購入してからリフォームを予定しているときは購入物件について十分に調査・確認をしたうえで,予定しているリフォームができるかどうか事前に検討しておく必要があります。
 せっかく購入した不動産なのに,中途半端なリフォームしかできないとなるとがっかりしますよね。購入してから後悔しないためにも十分に確かめておくことが大切ですね。

この記事を書いた人

吉山 晋市(よしやま しんいち) 弁護士法人みお綜合法律事務所 弁護士
大阪府生まれ 関西大学法学部卒業
弁護士・司法書士・社会保険労務士・行政書士が在籍する綜合法律事務所で,企業法務,不動産,離婚・相続,交通事故などの分野に重点的に取り組んでいる。

弁護士 吉山 晋市

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